応募から採用までの5つの審査

シリコンバレーの IT 企業でエンジニアとして就職するには、主に次の 5 つの審査を通過する必要があります。企業や職種によっては、電話面接が一度しかなかったり他の審査があるなど多少の差異はありますが、だいたいこれらの 5 つの審査があると心づもりをしておきましょう。
  1. 書類審査
  2. 電話面接その1
  3. 電話面接その2
  4. 電話面接その3
  5. 現地面接
この記事では、それぞれの審査でどのような試験が行われるかを説明するとともに、採用面接官としての経験を持つ筆者が感覚として得た通過率も記載します。

書類審査

就職の応募は各企業が用意している Web サイトで行います。あらかじめリクルータとコンタクトを取れている場合は、リクルータの指示に従ってください。Email で必要な情報を提出する場合もあれば、Web サイトで入力するように指示される場合もあります。

送られた履歴書は、リクルータによって審査されます。ここでは応募要件を満たしているかのチェックなど簡単な審査が多いです。

書類審査の通過率は 50% くらいだと思います。数字的には半分しか通らない厳しい審査のように思えますが、実際には必要要件を満たしていない応募の足切りです。給与や待遇の良い会社には、要件を満たしていなくてもユニークな自己アピールをして何とか職を得ようとする多くの人が世界中から応募してきます。これら一人一人に対応している時間もないので、足切りが行われます。

電話面接その1

リクルータとの電話面接です。これは実際は審査ではなくて、次のステップであるエンジニアとの電話面接の日程調整だったりします。あと、応募する職種についての相談などができ、変更などもできます。

特に審査が行われる訳ではないので、このステップの通過率は 100% だと思います。

電話面接その2

ここからが本当の審査です。電話、もしくはスカイプなどの会話ツールを使い、エンジニアから出されたアルゴリズムの問題を解きます。時間は1 時間ほどです。難しい問題を 1 問だけ出す出題者もいれば、簡単な問題を数問解かせる出題者もいます。Google Docs や Collabedit などのオンライン・文書共有ツールを用い、エンジニアと会話しながらリアルタイムでプログラムを書く必要があります。

ポイントとしては、面接官としては候補者が解法をどのように探しているかを知りたいので、考えていることを口に出した方が良いです。たとえ直ぐに解法が思いついたとしても、プログラム書き始める前にどのような解き方を考えているかを説明しましょう。また、面接官がヒントをくれることもありますが、それは悪いサインではないので安心してください。そのヒントをどのように使い、解法を探そうとしているかを評価します。

問題の形式としては、電話や会話ツール越しなので図示しないと説明が難しいような問題はあまり出題されません。

このステップの通過率は 10% くらいだと思います。問題演習で練習するなどしっかり対策を立てていかないと、このステップで落とされてしまいます。

電話面接その3

これも電話面接その2と同様に電話もしくは会話ツールなどを使って行われます。前回の面接結果をもとに、もっと審査したい分野の問題を出したり、より難しい問題を解かせる場合が多いです。

このステップの通過率はおそらく 80% くらいです。比較的高いのは、電話面接その2を通過できるくらいの実力の人は、大抵その3も通過できる実力があるからです。

このステップが無い企業も多いです。

現地面接

電話面接を通過できると、シリコンバレーの本社や地理的に近い支社に招かれて半日から 1 日掛けて面接を行います。日本国内に支社がある場合はその支社で面接が行われることもあります。もちろん航空券代やホテル代は出してくれます。

面接の時間としては、半日の場合は 10 時から 1 時、 1日の場合は 10 時から 4 時まで面接が行われます。12 時から 1 時までは面接官と一緒にランチをします。

面接は 45 分 ~ 1 時間を 1 コマとし、各コマにはエンジニアが 1 ~ 数人に割り当てられ、アルゴリズムの問題やシステムデザインの問題が出題されます。電話面接と異なり、ホワイトボードを用いて図を使った問題が出題されやすいです。解答となるプログラムもホワイトボードに記述することに加え、プログラムを書く前に図を使って解法を説明してもらうことも多いです。

このステップの通過率は、5 %くらいだと思います。

まとめ

以上、5 つのステップを通過できるのは、「(50/100) * (100/100) * (10/100) * (80/100) * (5/100) = 1/500 = 0.2 %」より応募全体の 0.2 % くらいです。筆者の感覚としても、これくらいだと思います。

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シリコンバレーでエンジニアとして就職するには、アルゴリズムやプログラミング、システムデザインの問題が出題される面接を突破する必要があります。本サイトでは、シリコンバレーでエンジニアとして働き、面接官としての経験も豊富な筆者が、面接への対策に関する情報を配信しています。

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